高血圧で急性の熱症状が伴い、持続する高熱もあり危険な状態のものに使う漢方薬が
『大承気湯』です。
全身の炎症あるいは腸管・腹膜などの炎症の時の用いることが多く、
それに伴った炎症性の腸管まひと便秘に効く。
また、炎症・高熱・発汗などによる軽度の脱水症状を認められる場合もあります。
『大承気湯』の構成生薬
- 大黄
- 芒硝
- 厚朴
- 枳実
『大黄』の効果・効能
この『大承気湯』という漢方薬に含まれている
生薬の主薬である『大黄』は
タデ科のダイオウ類の根茎を乾燥したもので
消炎・抗菌作用によって炎症を鎮め、強烈な瀉下(西洋医学でいう下剤のような)によって、
腸管内に溜まった糞便(便秘)を排除する効果があります。
この生薬はこんな漢方薬に含まれています。
- 大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)
- 大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)
- 桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
- 大柴胡湯(ダイサイコトウ)
『芒硝』の効果・効能
『芒硝』は天然の鉱物である芒硝を再結晶して精製したものです。
『芒硝』には、硫酸ナトリウムが含まれていてこの「硫酸ナトリウム」には、
腸内で水に溶け高浸透圧の塩溶液をつくり腸管内に大量の水分を保つ作用があるのです。
さらに腸管を物理的に拡張し蠕動運動を促進する効果もあるのです。
この生薬はこんな漢方薬に含まれています。
- 大黄牡丹皮湯(ダイオウボタンピトウ)
- 大承気湯(ダイジョウキトウ)
- 通導散(ツウドウサン)
- 桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
『厚朴』の効果・効能
『厚朴』はモクレン科のホオノキなどの樹皮を乾燥したものです。
抗菌作用もあり、消化管粘液を刺激して興奮性を高め、蠕動運動を促進し、
腹部膨満感を軽減する効果があります。
この生薬はこんな漢方薬に含まれています。
- 柴朴湯(サイボクトウ)
- 大承気湯(ダイジョウキトウ)
- 半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
- 平胃散(ヘイイサン)
『枳実』の効果・効能
『枳実』はミカン科のダイダイまたはナツミカンなどの未熟果実を乾燥したものです。
胃腸の蠕動運動を促進し、腸管まひを緩和させ、腹部膨満感を軽減します。
この生薬はこんな漢方薬に含まれています。
- 四逆散(シギャクサン)
- 大柴胡湯(ダイサイコトウ)
- 竹筎温胆湯(チクジョウンタントウ)
- 通導散(ツウドウサン)
【漢方薬】『大承気湯』まとめ
これを見てわかるように『大承気湯』に含まれている生薬は
胃腸に効果を示すものばかりで、
さらに蠕動運動を促進する力も強いため日頃から長期間続けて飲む漢方薬というよりは、
『持続する高熱があり危険な状態の便秘の時に使う漢方薬』であるということがわかります。
参照:中医処方解説
引用:漢方薬のきぐすり.com