冷え性は女性の多くが感じている症状の一つですがしっかりと治療や対策をしている方はあまり多くありません。
冷え性ということは自覚しているけど別にそのままでいいや、という方やいろいろ試しているけど全然治らない、なんて意見が多いですが冷え性の状態が続くと体にとって悪いことがたくさんあるのです。
例えば自律神経系の乱れを起こしやすかったり女性であれば生理痛の悪化や不妊症などの原因になってしまうこともあります。
そんな冷えですがその人の体のタイプによって生じやすい症状などが変わってきます。
今回は冷え性の方に多いタイプを3つ紹介してさらにそれに効果的な漢方薬を紹介していきたいと思います。
●冷え性とは?
そもそも『冷え』とはどんな状態のことを指すのでしょうか。
多くの人が別に寒さを感じない状態であっても手足が冷えたり下半身や腰などに冷えを感じる状態のことを『冷え性』と言います。
そして冷え性には『冷え性』と『冷え症』の2つがあることはご存知でしょうか?
一般的には冷え性と言いこれは西洋医学的な考えで体質的な個人差の問題とされ特に疾患というわけでは無いという感じです。
逆に『冷え症』は東洋医学的な考え方で病気ではないが冷えは病気のサインと言われたり冷えがあると体に不調が起こりやすいとされていたりします。
東洋医学では病気ではないが病気の前段階の状態などを『未病』と言いますが冷え症は未病の最たるものとされていたりもします。
また日本は四季がはっきりしていて季節ごとに気温の変化も大きいです。
人間の体は気温の変化が大きくても適応するようにできていますが冷暖房などが完備された現代での過度な使用が逆にこの体の現象を狂わせ冷えさせてしまうことがあります。
暑い夏では体は血管を拡張させ自然と汗を出し熱を逃がすように働きますがこの状態にクーラーでキンキンに冷えた部屋にいることが多くなった現代では逆に熱を奪われ過ぎてしまい結果冷えてしまうケースが多いです。
冬も同じような状態で熱を逃さないように血管を収縮させますが暖房で暖かい部屋にいることが多いので逆に血管を拡張させ熱を体から出して奪ってしまうことが多いです。
●タイプ別! 冷え性に多い3つのタイプ+効果的な漢方薬の紹介
◆巡りが悪く熱が行き渡らないタイプ
まずは体の機能的には熱を作り出せているのに熱を体に行き渡らせる循環が悪く体にうまく熱が行き届いていないタイプです。
体の末端である手足や足先が冷えやすい方に多いです。
東洋医学では気や血を体内にうまく循環させるには様々な機能が協調して行なっていますが特に体の血液がドロドロで巡りが悪くなる瘀血(おけつ)が多い、ストレスやアルコールの摂りすぎで肝の機能に異常が生じ気が停滞しやすくなっている、偏食や食べ過ぎで胃腸や脾の機能に異常が生じ水分などの巡りが悪くなっているなどの方に多いです。
●効果的な漢方薬
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
この漢方薬は巡りを整えるのに効果的で血や気の滞りを改善させてくれる効果が期待できます。
他にも瘀血が原因で生じている生理痛の改善やのぼせなどにも効果的です。
手足や足先が冷えやすい方には巡りを改善させ隅々まで巡りを良くしてくれる桂枝茯苓丸はピッタリかもしれません!
小紫胡湯(しょうさいことう)
肝の疾患や異常が生じている時には肝の機能を改善させる効果の強い生薬である紫胡を用いた漢方がよく使われます。
中でも小紫胡湯は肝の気の鬱滞を改善させる効果が強いので肝の気が鬱滞し気の巡りを悪くしている場合には効果的です。
◆熱を自ら作り出せないタイプ
このタイプは自らの力で熱を作り出すことができないので体全体が冷えやすい方に多いです。
元々風邪を引きやすかったり体力が少ない虚弱体質であったり疲れやすい、老化による代謝の減少、胃腸の機能異常、過度なダイエットなどを行なっていたりする方にも多いタイプです。
またバランスの取れていない食事であったり偏食気味の場合でも多く、理由としては熱を作り出す材料が偏ってしまったり栄養が偏っているので十分な熱を作り出す材料が足りていないことが上げられます。
●効果的な漢方薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯は元気がなく体力が低く虚弱な体をサポートしてくれる作用の強い漢方です。
自らの力で体を温めることができないこのタイプにはまずこの漢方で体力をつけたりして体を強くしていくと良いでしょう。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
この漢方薬は頻尿や尿漏れなどに用いられることが多いですが体を温め体全体の機能低下を改善させてくれる効果もあります。
弱った機能を改善させるには効果的な漢方薬です。
◆余分な水分が溜まっている
このタイプは体に余分な水分が多く溜まっていてそれが体を冷やして冷えに繋がっているタイプです。
水分を吸収したり排泄する機能が低下している場合が多くそれほど水分をたくさん摂取していない方でも機能が低下していれば生じやすいです。
水分は下の方に溜まりやすい性質があるので冷えも下半身が冷えやすかったり足が浮腫やすい方はこのタイプに近いかもしれません。
●効果的な漢方薬
五苓散(ごれいさん)
体の機能を高めて余分な水分を体外に排出するのをサポートしてくれます。
不要な水分が溜まりむくんだり体がブヨブヨする感じがする方にはピッタリです。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
当帰芍薬散は体全体に栄養分を行き渡らせ血行を良くさせてくれたり水分代謝を整えて余分な水分の排出をサポートし体をスッキリさせてくれます。
腰回りの冷えや生理痛の改善にも効果的な漢方薬です。
●手足を温めるだけでは意味がない??
手足が冷えているから靴下を履いたり手を温めていたりする方も多いですが冷えている箇所を温めるだけではあまり意味はありません!
なぜかというと熱と言うものは体の色々な機能、部位で作られ決して手足だけで作られているわけではないからです。
確かに局所を温めることで暖かくはなりますがそれは一時的に暖かくなっているだけであり原因となっている巡りや臓器の機能を改善させないと時間が経てばまた冷えてきてしまいます。
温めてあげるのであれば基本的には色々な臓器が集中しているお腹周りを温めてあげたりその真後ろの背中や腰を温めてあげるのが効果的です。
●まとめ
今回の投稿では冷え性の方に多い3つのタイプを紹介しました。
冷えは自覚している人は多いけどしっかり改善させていない方が多かったり体の様々な不調や疾患に繋がってしまうような症状です。
タイプとして多いのは『巡りが悪くて冷えが生じるタイプ』『熱を作り出せないタイプ』『余分な水分が溜まっているタイプ』がありますが自分に近いタイプをしっかり把握して改善させることが健康に生活するには大切です。
これからの暖かくなってくる時期であっても体質によって関係無く冷えが生じることが多いのでしっかり改善できるようにしましょう。